診療科紹介
国立病院機構岡山医療センター小児外科は、名誉院長の青山興司を中心に、数十年にわたり、中国地方東部の小児外科医療を担って参りました。
現在でも、岡山県下だけではなく、広島県東部、島根県、鳥取県、兵庫県西部などの広範囲な地域より、多数の小児外科・小児泌尿器科疾患の患児を受け入れています。
また、当院は、岡山県の周産期医療の中心を担うべく、倉敷中央病院とともに岡山県総合周産期母子センターに指定されています。したがって、多くの新生児の外科的疾患の治療を行っています。
小児の外科疾患は広範囲にわたりますが、当科には2名の小児外科指導医および2名の小児泌尿器科認定医がいるため、小児外科・小児泌尿器科の広い分野にわたり、豊富な臨床経験とエビデンス(科学的な根拠)に基づいた診療を行っています。
また当院の産科、小児科、新生児科の協力の下、胎児診断疾患や救急疾患への対応、そして成長していく児のフォローアップも充実しています。
新生児医療
充実した産科・新生児科の医師の協力の下、当科では数多くの新生児手術を施行しています。
医療レベルの向上に伴い、多くの外科的新生児も助かって当り前の時代になってきましたが、私たちは機能的予後の良い手術を行なうことも重要と考えています。
そのため、美容に配慮しながら解剖学的に少しでも正常に近づけるような手術方法を常に工夫しています。
新生児外科症例数は中国四国地方でもっとも多い施設の一つです。
小児一般外科領域
呼吸器外科疾患としては小児の気管、肺、横隔膜などの病気が含まれます。
横隔膜ヘルニアに対しては産科・新生児科と協力し治療にあたっています。
また先天性嚢胞性肺疾患に対する肺葉切除や気管狭窄症に対するslide tracheoplastyなども施行しております。
消化器外科疾患の中でもヒルシュスプルング病や鎖肛に対しては術後の排便機能を重視した術式(経肛門的Short Cuff Soave法、Pena法)を選択し、経験も豊富です。
小児の肝・胆道疾患の代表的なものには、胆道閉鎖症、先天性胆道拡張症があります。
特に胆道閉鎖症は手術だけではなく、診断・術後管理がその後の予後に重大な影響を与えます。
当院は多くの診療実績を有し、良好な成績を得ています。
腹腔鏡下手術:噴門形成術、胆嚢摘出術、脾臓摘出術、虫垂切除術、腹腔内の良性腫瘍摘出術、ヒルシュスプルング病手術、腹腔内精巣固定術等には鏡視下手術を施行しております。
小児泌尿器科領域
小児泌尿器科認定医を1名有し、膀胱尿管逆流症、水腎症、尿道下裂など数多くの小児泌尿器科手術を施行しています。膀胱尿管逆流症のお子様に対しましては、より低侵襲な膀胱鏡下Deflux注入療法も施行可能です。
また総排泄腔遺残、総排泄腔外反など、治療に小児外科、小児泌尿器科両方の知識と技術を必要とする疾患の治療経験も豊富です。
腫 瘍
小児の悪性腫瘍には化学療法、放射線療法、手術療法による集学的治療が必要です。
当科では国内の神経芽腫、腎芽腫、肝芽腫などの研究グループに参画し、その治療方針に基づいた治療を行っています。
移植医療
小児の腎移植を成人腎移植チームと協同で施行しております。当院では肝臓移植、腎移植を施行してきましたが、肝臓移植に関しては現在岡山大学で施行していただいています。