腸重積症
- 症状
- 小腸が小腸内または大腸内に入り込む(重積する)ことで発症します。便の通過障害を起こすため高度の便秘のときのような周期的な腹痛が見られます(凡そ5~15~30分間隔です)。また、腸管の血流障害を引き起こし、便には粘液の混ざった血液が混入します(イチゴジャム様に見えることが多いようです)。この病気に罹り易い年齢(好発年齢)は生後数ヶ月から2歳頃までなので、腹痛を訴えるというより、周期的に不機嫌になることで気付かれるることが多いようです。
周期的に不機嫌になり、顔色も蒼白となり、便に血が混じるようであれば腸重積症の可能性が高くなります。発症してから時間が経過すると腸管の血流障害により腸に穴があいたりすることもあります(穿孔)。一般には発症後24時間以内の診断・治療が望ましいといわれています。 また、10~20%の児は腸重積症が再発します(再発をしても、特徴的な症状:周期的な腹痛などのため、2回目以降の腸重積症は両親・医師により早期に発見されています)。
本症の原因は色々といわれていますが、腸壁のリンパ節の腫大が関与しているといわれています。実際、腸重積症の約1/4に先行する感冒症状があります。また、5~10%の児には器質的異常(腸管重複症 ポリープ 腸管憩室など)があります。
- 療法:超音波ガイド下生理食塩水注腸整復
-
肛門にチューブを挿入し、約1mの高さから生理食塩水を注入することで重積した腸に肛門側より圧力をかけて元に戻します。超音波で重積した腸が確実に整復されたことを確認して整復を終了します。
発症後時間が経過している場合(24時間以上)や、腸管の壁が傷んでいる場合には、わずかな圧力でも腸管に穴があく(穿孔)ことがあります(1%未満)。整復の過程で腸管の穿孔を認めると直ちに緊急手術を行うようになります。
肛門側より矢印のように加圧して、重積した腸管を元に戻す操作を行います