小児外科は生まれたばかりの赤ちゃん(新生児)から学童期(中学生:16歳未満)までのお子さん方の外科治療なら国立岡山医療センター小児外科まで。

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肥厚性幽門狭窄症


生後2~3週の新生児期から乳児期早期にかけて、飲んだ母乳やミルクを頻回に嘔吐する病気です。噴水状の嘔吐が特徴であり、頻度は出生1000人に1~2人とされ、男児に多い傾向があります。

胃の入口を噴門、出口を幽門といいます。この幽門の筋肉が肥厚してくると、胃の出口が狭くなり飲んだ母乳やミルクが胃から十二指腸に通過することができなくなります。

赤ちゃんはミルクで胃が一杯になると、飲んだミルクを噴水状に大量に嘔吐(噴水状に嘔吐することが特徴)しますが、吐いた後には空腹感のためにさらにミルクを欲しがります。現在まで、幽門筋が肥厚する原因は不明のままです。この病気は第1子、しかも男の子に多くみられます。

治療開始が遅れると、体がアルカリ性に傾き、且つ脱水になって尿量が著しく減少してきます(低クロール性代謝性アルカロージスと表現します)。

診 断
腹部の触診では肥厚した幽門を触知します。また超音波検査で肥厚しさらに長くなった幽門を同定、測定できます。幽門筋層(幽門筋厚)4mm以上、幽門管長15mmが一応の目安です。
診療疾患画像
診療疾患画像
治 療
外科手術による方法と硫酸アトロピン投与による内科的療法とがあります。脱水や代謝性アルカロージスの補正後に、手術によって幽門筋を切開し拡げる方法(ラムステット手術)が世界中で行われています。手術後は4-7日で退院可能です。内視鏡を使って幽門筋をラムステット手術を行ったり、硫酸アトロピンという薬剤をを静脈内に注射または内服することにより幽門筋を弛緩させたりする治療法もあります。
当院における傷の目立たない外科治療法
従来右上腹部切開創から幽門を引き出し、幽門の筋層を切開、幽門管を広げるRamstedt法が一般的でした。1996年に当院の青山が臍内の切開創から腹腔内でこのRamstedt手術を施行する方法を報告し、当院では2007年までに76症例をこの方法で手術しています。手術切開創が臍内のため、傷もほとんど目立たず、美容的に優れた手術方法です。