ブログ
2014年5月20日
乳児期早期の嘔吐について
小児外科では新生児期や乳児期早期に頻回に嘔吐をするという赤ちゃんをしばしば外来で診察します。赤ちゃんが嘔吐した場合は嘔吐した内容をよく観察することが大切です。嘔吐したものが飲ませた母乳やミルクであれば、原因で最も多いのは生理的な(正常範囲内の)胃軸捻転症によるものです。胃軸捻転症では、赤ちゃんのおなかのスペースが狭いために、腸が胃を頭側に押し上げ、飲んだ母乳やミルクが十二指腸側に流れにくい状態になっています。この場合授乳の後しばらく赤ちゃんをややうつ伏せめに縦抱きにしてあげることで、排気ができさらに母乳(ミルク)が十二指腸に通過しやすくなります。胃軸捻転症の赤ちゃんは嘔吐はするものの体重増加は良好で、成長とともに特に治療することなく自然に嘔吐はなくなっていきます。吐物が母乳(ミルク)である場合でも、生後2-4週頃から多量に(噴水のように)嘔吐し体重が減少してしまう様な病気も存在します。肥厚性幽門狭窄症といって胃の出口の筋層が肥厚して胃から十二指腸へ母乳(ミルクが)通らない病気です。この場合は手術で肥厚した筋肉に割を入れる方法とアトロピンという薬剤を投与する治療法があります。当院では両方の方法のメリットデメリットをお話しし治療法を選択していただいております。手術療法に関しては、臍の内側を弧状に切開し、肥厚した幽門を体外に出すことなくおなかの中で幽門の筋層切開を行う方法(当院名誉院長の青山がBianchi先生の臍部アプローチを改良した方法)を行っており腹部に傷は全く残りません。吐物が緑色の場合は胆汁が混じっているということですのでこれは緊急で対応しなければいけない病気の可能性が高くなります。吐物が緑の場合は必ず医療機関を受診してください。
今日はひさびさに小児外科の病気について書いてみました。写真は私のバラの師匠の庭のバラだそうです。さすがに美しいですね。私も一応庭にバラは植えてみましたが、人に見せれるような代物ではありません・・・。中原でした。
新しい記事 <<外来の順番について
前の記事 山中先生の講演 in 第51回日本小児外科学会>>