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2020年8月4日
腎臓病の治療
腎臓の働きが悪くなると、生命を維持するために腎臓の代わりとなる治療(腎代替療法:じんだいたいりょうほう)が必要となります。
腎代替療法は、透析治療・移植治療に大別されます。
透析治療は、腎臓の代わりに毒素などの老廃物や余分な水分を取り除く治療法で、血液透析と腹膜透析があります。
血液透析は、体から血液を取り出し、人工腎臓(ダイアライザー)を通して老廃物や水分を取り除くため、短時間で十分な血液量を取り出すためのシャント手術や血管内カテーテル留置、といった手術が必要になります。また、基本的には大掛かりな装置による治療法なので、週3回程度通院し、3-4時間透析を受ける必要があります。旅行なども可能ですが旅行先でも透析を受ける必要があります。乳幼児や就学期のお子さんは、血管が細くシャントの作成が困難であることや、通学に支障が出るなどの点で、血液透析より腹膜透析を選択することが多いです。
腹膜透析は、腹腔の中に透析液を注入し、腸を包んでいる膜(腹膜)の毛細血管から老廃物や余分な水分を取り除く方法です。自宅で行うことが可能で、また夜間就寝中などに行うことで学校生活に影響は少ないですが、血液透析に比べ緩やかな透析になるので連日行う必要があったり、旅行先へ透析液などを運ばないといけない、などの不自由があります。
また、透析療法は腎臓の働きを完全に補完するわけではないので、ミネラルを調節するための内服薬などは透析導入以後も継続する必要があります。
日経電子版より引用
移植治療は正常な働きの腎臓を他人からいただき、自分の体内に生着させる治療法で、健康な成人(親族・姻族)から提供いただく生体腎移植と、亡くなられた(脳死または心停止)方から提供いただく献腎移植があります。
腎移植を受けた場合、他人の腎臓を生着させるために、生涯免疫抑制剤を内服する必要があります。自分の免疫機能を抑えるため、感染症にかかりやすくなります。ただし、内服薬を継続し、移植腎機能を良好に保つことができれば、腎臓の働きが問題ない人と同じように生活することができます。
生体腎移植はスケジュールを決めて手術を受けることが可能ですが、ドナーになる方は腎臓が一つになるため、ドナーさん自身も手術前よりは生活に注意し水分摂取をきちんとしたり、生活習慣病にならないよう努力する必要があります。献腎移植はいつドナーが現れるかわからないため、突然登録医療機関から電話が来て、1、2日のうちに移植となるため慌ただしい、と言う欠点があります。
どの治療法を選択するか、は本人、ご家族のライフスタイルに合わせて決めることが必要です。
当院では、身長75cm以上、体重9kg以上を目安として腎移植を行なっております。
腎臓病のお子様で腎移植を検討される場合にはかかりつけの先生を通じていつでもご相談いただければと思います。
(文責 高橋)
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