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2020年7月24日
抜糸?
こんにちは。大倉です。手術や処置の説明をしているときに、「抜糸はあるんですか?」と聞かれることが時々あります。そこで、今日は傷の縫い方と抜糸について少しお話します。 「縫い方」と一口に言ってもいろいろあるので、我々が日常的によくしている縫合について、重要なものを2つだけ。
手術室では、消毒して皮膚をしっかりときれいにして、メスでスッと切開します。ので、きず自体がきれいです。細菌もいないし、切り口もなめらかです。問題なく傷がくっつく可能性が高いです。このような場合、埋没縫合、といって、糸を完全に創部の中に埋め込むように縫います。ということで、抜糸はいりません!!傷跡も最低限しか残りません※。では糸はどうなるかというと・・・この縫い方をする時には、吸収糸、と呼ばれる、体内で溶けて自然になくなってしまう糸を使います。ので、糸が埋め込まれていても大丈夫!ということなのです。
※ただ、切開した創自体は線として残るので、全く0になる、ということは少ないです。でも、最終的には目立たなくなります。
では、外で遊んでいて転んでできた傷を、救急外来で縫う時はどうするかというと・・・そのような場合は、傷も汚くて、切り口もギザギザしていることが多いです。せっかく縫っても感染したり、皮膚のつきが悪かったりする可能性があります。こういうときは、単一結節縫合、という縫い方をします。この縫い方のメリットは、皮膚同士を確実に合わせやすく、比較的強い力で皮膚を合わせておくことができることです。デメリットは・・・抜糸がいることと、いわゆるムカデ傷のような傷跡が残る可能性があることです。ただ、汚い傷だと感染などのトラブルが起こりうるので、デメリットを考えてもこの縫い方をした方がよい!という場合があるんです。
上の写真での縫い方が、単一結節縫合、「抜糸がいる縫い方」です。あっ、これは、スポンジとかでできている、縫合練習用の模擬皮膚です。
ではでは、部屋の机の角で額を切ってしまった時・・・こういう場合は難しいですが・・・部屋の中の机ならそんなに汚い細菌はいないでしょうし、額だとムカデ傷は絶対つけたくない、ので、よくよく洗浄・消毒して、救急外来でも埋没縫合を行う場合もあります。きずの状況と、スムーズに治りそうかを判断して、縫い方を決めているのです。ということで、抜糸が必要な縫い方をするかどうかは、ある程度予想はつくけれども、その場の判断によるところもあります。気になることがあれば、遠慮なく担当医にお尋ねください!
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